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キーエンス流営業力強化に学ぶ(その2)

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    早速ですが、第一回目のテーマとして『顧客接点情報の管理と共有』を取り上げたいと思います。

    15年位前の私が新卒でキーエンスに入社した当時、
    営業活動の基礎となる顧客の基本情報や接点情報などの管理について何らシステム化されておらず、ボロボロになった紙の顧客カードで管理されていました。

    当時はすでに就職したい企業ランキングにも挙がってきていた頃でしたので、社内インフラが整備され、一人ずつノートPCが配布され、かっこよく使いこなすような営業マンを勝手にイメージしていました(私の調査不足・・)ので、正直驚きました。

    配属される事業部によってターゲットが異なるのですが、私は一番単価が小さいセンサや制御機器を取り扱う事業部で、商談相手も工場の技術者や設計者などでした。従って、多くはパソコンを広げられる商談スペースなんてものはありませんし、当時はまだ大手企業じゃない限り、工場の担当者にメールアドレスが配付されることも少なかったようです。
    (見積書の送付なんかはFAXが一般的でした)

    キーエンスの営業体制はいわゆるエリア制で、担当地区が与えられると、地区内の見込客も含めた顧客カードを預かります。営業担当の経歴や実績、エリアの特性にも依りますが、退職前の私は1000〜1500枚程度の顧客カードを保有していたと思います。
    (勿論、この顧客カードはキャビネットで施錠管理してました)

    顧客カード

    これらのカードには、住所や電話番号などの基本情報に加え、かつて担当した営業マンがコツコツと蓄積してきた情報が書いてあり、例えば、

    ・各製品のキーマン(製品の選定者)
    ・競合製品の利用状況とシェア(価格含め)
    ・パーソンごとの特徴(性格や趣味など)
    ・取引先に関する情報(機械等の発注元を押さえることも重要)
    ・電話や訪問における接点情報(どんなやり取りをしたか等)


    などの記録が思い思いに残されてました。
    勿論手書きでしたので、字の上手くない先輩が書いたものには認識不明のメモもありました。。 しかし、これらの情報が顧客攻略に重要なものとして非常に頼りにしていました。

    単にキーマンといっても、

    ・生産装置を設計/製作する機械担当者
    ・制御機器のプログラムを組む電気担当者
    ・生産ラインのメンテナンスをする保守担当者


    など、その役割に応じたアプローチが必要だったため、同一拠点であっても各キーマンを常に把握し、情報収集しておくこと自体が大変重要な活動でした。

    大企業の場合は担当者の異動も頻繁でしたし、中小企業の場合は上記の役割を兼務する担当者や、連携している設計事務所の把握など、製品を紹介する以前に情報収集を重視していました。
    私がとりわけ重視していたのが、お客様の取引先に関する情報でした。
    特に成果に繋がったのが、大口取引になりやすい大手電機メーカーの生産ライン装置を受注した工作機械メーカーへのアプローチです。

    関西地区でしたので、当時流行っていたゲームボーイ関連の機械はかなりの台数に上りました。工作機械には相当数のセンサやタッチパネルなどの制御機器が使用されますので、設計段階で他社製品をリプレースできれば、後は増産の度に追加注文を頂けるのです。

    従いまして、これらの情報資産がとても綺麗とはいえない古びたカードに凝縮され、キーエンスの営業活動を根底から支えてきたのだと考えています。

    さて、このアナログな顧客カードですが、私が2年目に入った頃、営業活動の効率化を目的にSFA(営業支援システム)の導入が始まりました。一人一台のノートPCが配付され、顧客カードや外出報告書(いわゆる日報)などがシステム化されました。

    当初は、システムの機能面で物足りなさを感じずにはいられませんでしたが、営業所内で本システムの活用推進担当に任命され、日々「この項目の運用ルールをこうしましょう!」など提案しながら、効果的な活用方法を模索していました。

    今ではこの様な仕組みをクライアントに提案する立場にいるのは不思議なものですが、本質的にはシステム化されていなくても(紙の顧客カードでも)やるべきことが徹底されるマネジメントや企業風土が重要ではないかと考えています。

    さて、システム化されると様々な面で効果を感じることができました。
    当初は、システムやPCに対する慣れの問題で多少生産性を落とした場面も見受けられましたが、最近では一般的な社員のITリテラシーも向上し、システムのインターフェイス(操作性)も進化しておりますので、そういった心配事も少ないと思います。

    キーエンスの場合、それまでの情報資産に価値がありましたので、カードに記載された情報は認識できるもの殆どを業者に依頼してデータ化し、これらの情報を一発で検索できるようにしたため、はじめて利用したときは感動さえ覚えたものです。

    具体的にいいますと、新製品が出た際に関連製品を使用している機械担当者に一斉アプローチしたい場合、これまではカードを1枚1枚捲りながらお客さんを探り当て電話していたのですが、一発で抽出されたリストから電話して、得られた情報を残せるというサイクルが高速化されました。

    また、それまでは他の営業マンが掴んだ競合情報等をリアルタイムで共有するのは、個人的な繋がりか会議の場しかなかったのが、システム化されることにより、随時情報が共有されアクションに繋げやすくなったのが、単純なことでありながら大きな成果だったと思います。

    システム化される以前も強力な情報収集力で成果に繋げていたキーエンスが、情報武装化されることにより、より強力な営業組織力を掴んだ瞬間だったと思います。そして現在も、システムの進化と共に、ヒューマンスキルの向上も図りながら、競合他社との優位性を高め続けているようです。

    ITの導入が全てではありませんが、目的を果たす手段として有効な選択肢の一つであるならば、いずれの企業でも検証すべき取り組みかと思います。

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